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象の頭をもつインドの神さま、ガネーシャ。「ガネーシャ」「ガネーシュ」「ガナパティ」など、本や旅先でいくつもの呼び名を目にして、どれが正しいのか、名前にどんな意味があるのか気になったことはありませんか。
この記事では、ブリタニカ百科事典の「Ganesha」の項目(シカゴ大学名誉教授ウェンディ・ドニガー氏の執筆)をもとに、ガネーシャという名前の意味と、名前から見えてくる神さまの姿を5つのポイントにまとめます。英語の説明の日本語は、この記事での訳です。後半の、名前に注目してガネーシャを楽しむ方法は、この記事の提案です。
※神話や呼び名は、地域や伝統によってさまざまです。この記事で紹介するのは、ブリタニカの説明にもとづく一つの整理です。信仰や儀礼については、それぞれの寺院や伝統の案内もあわせて確かめてください。
ガネーシャの名前はひとつではない
ブリタニカが挙げる別名
ブリタニカの「Ganesha」の項目には、「Also known as(別名)」として、Ganapati(ガナパティ)、Ganesh(ガネーシュ)、Lord of the Ganas(ガナの主)、Lord of the People(人々の主)などが挙げられています。日本語の本でも、「ガネーシャ」「ガネーシュ」「ガナパティ」といった表記を見かけるのはこのためです。
どんな神さまとして紹介されているか
ブリタニカでは、ガネーシャは「象の頭をもつヒンドゥー教の始まりの神」と紹介されています。大きな仕事の前に伝統的に礼拝され、知識人や銀行家、書記、作家の守護神である、と説明されています。
ガネーシャの名前を知る5つのポイント
1. 名前には2つの意味がある
ブリタニカによると、ガネーシャの名前は「人々の主(Lord of the People)」と「ガナの主(Lord of the Ganas)」の両方を意味します。ひとつの名前に、2つの読み方が重なっているのがポイントです。
2. 「ガナ」はふつうの人々
1つめの意味について、ブリタニカは「ガナ(gana)」がふつうの人々(the common people)を意味する、と説明しています。この読み方では、ガネーシャは「人々の主」ということになります。
3. 「ガナ」はシヴァに従う者たちでもある
2つめの意味では、ガネーシャはシヴァに従う「ガナ」たち、つまりシヴァの小鬼の群れ(goblin hosts)の長である、と説明されています。父とされるシヴァとのつながりが、名前にも表れているわけです。
4. 「始まりの神」として最初に祈られる
ブリタニカでは、ガネーシャは大きな仕事の前に伝統的に礼拝される「始まりの神」とされています。また、象やネズミと同じように、障害を取り除く者(remover of obstacles)でもある、と書かれています。
5. 学問や書き物にかかわる人の守護神
ガネーシャは、知識人、銀行家、書記、作家の守護神とされています。名前に「主」の意味があることとあわせて、人々を見守り、物事を始める人を助ける神さまとして紹介されています。
5つのポイントの早見表
| ポイント | ブリタニカの説明(要約) |
|---|---|
| 1 2つの意味 | 「人々の主」と「ガナの主」 |
| 2 ガナ=人々 | gana はふつうの人々を意味する |
| 3 ガナ=シヴァの従者 | シヴァの小鬼の群れ(ガナ)の長 |
| 4 始まりの神 | 大きな仕事の前に礼拝される。障害を取り除く者 |
| 5 守護神 | 知識人・銀行家・書記・作家の守護神 |
名前の表記の違い
ガネーシャとガネーシュ
ブリタニカでは、項目名が「Ganesha」、別名に「Ganesh」が挙げられています。日本語でも「ガネーシャ」と「ガネーシュ」の両方の表記が使われます。祭りの名前では「Ganesh Chaturthi(ガネーシュ・チャトゥルティー)」と、Ganesh の形で書かれています。
ガナパティ
別名の「Ganapati(ガナパティ)」も、ブリタニカに挙げられている呼び名です。「ガネーシャ」と同じく、「ガナ」という言葉を含んでいます。
表記の違いを気にしすぎない
本やお店、寺院によって、表記はさまざまです。同じ神さまを指していることがわかれば、どの表記で書かれていても、名前の意味を手がかりに読み進めることができます。気になる表記を見つけたら、別名の一覧と照らし合わせてみるのもおすすめです。
名前と姿のつながり
丸いお菓子を手に持つ
ブリタニカでは、ガネーシャはおなかが大きく、手にインドの丸いお菓子をいくつか持った姿で描かれることが多く、そのお菓子が大好きだ、と説明されています。
乗り物はネズミ
ガネーシャの乗り物(ヴァーハナ)は、大きなインドのネズミ(bandicoot rat)だとされています。ブリタニカでは、ネズミは、欲しいものを手に入れるためにどんなものでも乗り越えるガネーシャの力を象徴している、と書かれています。
折れた牙を持つ姿
よく知られた神話として、シヴァ(または、ある異伝ではシャニ)によって頭を失った子どもに、シヴァが象の頭を与える話が紹介されています。そのとき牙の一本が砕け、ガネーシャはその折れた一片を手に持った姿で描かれる、と説明されています。
祭りでも呼ばれる名前
ブリタニカでは、夏の終わり(8月〜9月)の10日間の祭り「ガネーシュ・チャトゥルティー」がガネーシャにささげられている、と紹介されています。
呼び名の一覧と読み方のヒント
ブリタニカに挙げられている呼び名を、表にまとめます(カタカナの読みは、この記事での表記です)。
| 呼び名(英語表記) | カタカナの例 | ブリタニカでの扱い |
|---|---|---|
| Ganesha | ガネーシャ | 項目名 |
| Ganesh | ガネーシュ | 別名。祭りの名前にも使われる |
| Ganapati | ガナパティ | 別名 |
| Lord of the Ganas | ガナの主 | 別名。名前の意味の一つ |
| Lord of the People | 人々の主 | 別名。名前の意味の一つ |
「主」という言葉に注目
表を見ると、名前の意味として挙げられている2つの呼び名は、どちらも「Lord(主)」という言葉を含んでいます。「だれの主なのか」が「ガナ」という言葉の読み方で変わる、と考えるとわかりやすくなります。
「ガナ」をどう訳すか
「ガナ」を「ふつうの人々」と読むか、「シヴァに従う者たち」と読むかで、名前の印象は変わります。ブリタニカは、そのどちらの意味もある、と説明しています。どちらか一方に決めつけず、両方の意味をもつ名前として受けとめるのがよさそうです。
象とネズミが表すもの
象もネズミも障害を取り除く
ブリタニカには、「ネズミのように、そして象のように、ガネーシャは障害を取り除く者である」と書かれています。大きな象と小さなネズミという、まったく違う2つの動物が、同じ「障害を取り除く」という役割で結びつけられているのが面白いところです。
大きなものも小さなものも
象は大きな力で道をふさぐものを押しのけ、ネズミは小さな体ですき間をくぐり抜ける、と想像してみると、2つの動物が並べられている理由が思い浮かびます(この部分は、この記事での読み方です)。
家族の伝え方もさまざま
父母についての伝え
ブリタニカでは、ガネーシャの誕生についてさまざまな話が伝わっていることが紹介されています。ある話では、パールヴァティーが布切れから息子を作り、シヴァに命を与えるよう頼みます。よく知られた話では、パールヴァティーが体の汚れから子どもの形を作り、それが命をもつようになります。この話によればガネーシャはパールヴァティーだけの子ですが、伝統的にはシヴァとパールヴァティーの両方の子とされている、と書かれています。
妻についての伝え
インドの一部の地域では、ガネーシャは独身として描かれ、ほかの地域ではブッディ(「知性」)とシッディ(「成功」)の2人と結婚しているとされる、と説明されています。さらに、3人目の妻としてリッディ(「繁栄」)を挙げる伝統もある、と書かれています。
名前に注目してガネーシャを楽しむ方法
ここからは、ブリタニカの説明をもとにした、この記事の提案です。
本の表記をメモする
ガネーシャについての本を読むときは、どの表記が使われているかをメモしておきましょう。「ガネーシャ」「ガネーシュ」「ガナパティ」が同じ神さまを指すとわかると、複数の本を読み比べやすくなります。
「始まりの神」として思い出す
新しいことを始めるとき、大きな仕事の前に礼拝されるという説明を思い出すと、ガネーシャという神さまの役割が身近に感じられます。ただし、礼拝の作法は伝統によって異なるため、寺院などの案内にしたがいましょう。
像の持ち物と名前を結びつける
ガネーシャの像や絵を見るときは、丸いお菓子、折れた牙、足もとのネズミを探してみましょう。「人々の主」「ガナの主」という名前の意味とあわせて見ると、姿と名前がつながって見えてきます。
英語の資料にもふれてみる
英語の資料では、「Ganesha」「Ganesh」「Ganapati」のどれで検索するかによって、見つかる情報が変わることがあります。いくつかの表記で調べてみると、世界中の博物館や百科事典の情報にもふれられます。博物館の収蔵品のページでは、像や絵の解説に呼び名が書かれていることも多いので、名前と姿をあわせて見比べてみてください。
ガネーシャの名前のよくある質問
ガネーシャの名前の意味は?
ブリタニカによると、「人々の主」と「ガナの主」の両方を意味します。gana はふつうの人々を意味し、また、ガネーシャはシヴァの従者であるガナたちの長でもある、と説明されています。
ガナパティとガネーシャは同じ?
ブリタニカでは、ガナパティ(Ganapati)はガネーシャの別名として挙げられています。
ガネーシャはどんなことの神さま?
ブリタニカでは、始まりの神で、大きな仕事の前に礼拝され、知識人・銀行家・書記・作家の守護神とされています。また、障害を取り除く者とも書かれています。
ガネーシャの祭りはいつ?
ブリタニカでは、ガネーシュ・チャトゥルティーは夏の終わり(8月〜9月)の10日間の祭りと紹介されています。年ごとの日程は、それぞれの地域の暦や案内で確かめてください。
ガネーシャの名前の意味を知ってもっと身近に
ガネーシャの名前は、ブリタニカによると「人々の主」と「ガナの主」の両方を意味します。ガナパティやガネーシュといった別名も、同じ神さまを指す呼び名です。始まりの神として大きな仕事の前に礼拝され、障害を取り除く者ともされるガネーシャ。
名前の意味を手がかりに、像や絵、本の中のガネーシャをあらためて見てみてください。