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象の顔をした神。でも、赤い体で腕は十二本。ガネーシャを調べていて「知っている姿とずいぶん違う!」となったら、作品がどの地域、どの信仰に関わるものかも見てみてね。
ガナパティは、ガネーシャの別名として使われる名前です。ただし、同じ象の顔でも、描かれる姿や役割を一つの説明へまとめることはできません。
今回読むのは、ルビン美術館所蔵の絵画「Red Ganapati, One of the Three Great Red Deities」。同館は、チベット仏教のサキャ派に関わる、赤い十二本腕のガナパティとして説明しています。
ここでは実物を見た鑑賞記ではなく、美術館の公開作品解説を手掛かりに、読みどころを整理します。
十二本の腕。まずは、この一作品の情報から
作品番号はC2005.11.1。制作地はチベット中央部のツァン地方、年代は十六世紀、布に顔料で描いた絵画です。
美術館の解説では、中心のガナパティは赤い体で踊り、宝石を吐くネズミの上に立つ姿とされています。
ここで「ガネーシャなら、いつも十二本腕なのか」と広げず、この作品の姿として受け取ってみよう。同じ名前で検索した別の像と比べるときも、地域と年代が違えば、まず別の資料として見る。そのほうが、相違点を消さずに楽しめます。
腕の数には、象徴としての読み方もあります。同館の密教の尊格についての解説では、複数の頭や腕、脚は、多様な能力を象徴する場合があると説明しています。尊格は、ここでは信仰の対象となる仏や神などのことです。
ただ、そこから「十二本だから、この能力が十二個」と数を割り当てる説明までは、この作品紹介では確認できません。分かったところから、少しずつでいいんです。
「三大赤尊の一尊」は、サキャ派の説明なんだね
英語の作品名の後半は、三つの大きな赤い尊格のうちの一尊、という意味です。美術館は、このガナパティをチベット仏教のサキャ派における、その組み合わせの一尊と位置付けています。
あ、作品名に、その三つ組への所属まで入っているんだね! 題名を最後まで読むことが、信仰の背景を調べる手掛かりになります。
サキャ派はチベット仏教の一つの宗派です。宗派という所属まで分かると、「インドの神だから、ヒンドゥー教の神話だけで読めるはず」という入口から、もう一歩進めます。
この絵は、修行で尊格の姿を思い描くこととも関わると説明されています。そこで、装飾の好みや一般的な幸運の象徴だけに置き換えず、その信仰の中で使われた絵として読むのがよさそうです。
美術館の解説を読んで気になった点は、短く分けて残してみてね。「赤い十二本腕の姿」「サキャ派との関係」「修行で思い描かれる存在」。一度に持ち物の意味を全部当てようとするより、次に調べたい問いが見えてきます。
サキャ派という言葉から、背景の読書へ進むなら
この絵をきっかけに、チベット密教の歴史や宗派の違いも知りたくなったら、ツルティム・ケサン、正木晃著『増補 チベット密教』が候補になります。
筑摩書房の公開目次には、歴史篇と修行篇があり、修行篇にはカギュー派・サキャ派・ニンマ派を扱う項目があります。作品解説に出てきた宗派名から、その背景を読むための本です。
書籍の識別番号、ISBNは9784480091437。今回のガナパティの絵がこの本に掲載されていると確認したわけではありません。この一作品の図版や詳しい説明が欲しい場合は、先に収録内容を確かめてね。
赤い体と十二本の腕だけでも目に留まる作品ですが、名前の後ろにある「サキャ派の一尊」という説明まで読むと、調べる先が変わります。同じ象の顔でも、どんな場で、どんな意味を持っていたのか。次はそこへ、一つ問いを持って進んでみよう。