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博物館のガネーシャ作品と聞くと、座った像や、何本も腕のある姿を思い浮かべるかもしれません。
でも今回は、俳優がかぶる仮面です。しかも、主となる物語の登場人物ではないのに、舞台へ現れるというんです。
メトロポリタン美術館の作品解説では、ガネーシャは劇の成功を願う存在として、本編の前に登場すると説明されています。 同じ象の顔でも、舞台の幕開けに関わるものなんですね!
分類は「彫刻」。でも、かぶって使う仮面でもある
メトロポリタン美術館の作品ページの題名は「Ganesha」。英語でのガネーシャの表記です。作品番号(所蔵品を区別するための番号)は2015.255.5a–c。南インドのタミル・ナードゥの作品で、おそらくタンジャーヴール地区の作とされています。
制作年代は1700〜1750年ごろ。素材は木に布と彩色を用いたものです。彩色は、色を施すことを指します。
一覧の分類欄はSculpture、つまり彫刻です。一方、説明文には、この仮面を身に着けた俳優への言及があります。
あれ、彫刻なら、置いて鑑賞する像じゃないの?
ここは分類名だけで用途まで決めないで読んでみて。素材や分類を見たあとに、説明文で「どう使われたものか」を確かめると、舞台の道具という一面まで分かります。
鼻や耳の動きは、かぶった人の姿につながっていた
博物館は、動く構造の鼻や耳によって、この仮面をかぶる俳優が生き生きとして親しみのある存在に見えたであろう、と説明しています。鼻や耳の記述には、現在は失われているとの注記もあります。
そのため、今の姿から、当時の動きをそのまま確かめられるわけではありません。ここでは可動部分の仕組みを実際に動かしたり、上演映像を見たりはしていません。
けれど、解説に「俳優」が出てくることで、見るときの問いは変わりますね。何でできているかの次に、「人がかぶったら、どう見えたのだろう?」と考えられます。
動かし方がひも式だったのか、どのような操作だったのかまでは、当該の公開説明から断定しません。分かることと、想像してみたいことを分けながら読むのがよさそうです。
物語の登場人物でなくても、舞台へ現れる
当該解説が取り上げる劇では、ガネーシャは物語本編の役を担うわけではありません。それでも、その場にめでたさをもたらし、本編が始まる前の導入になる、と博物館は説明しています。信仰や上演の習わしについての説明で、成功が保証されるという意味ではありません。
ガネーシャを知る入口を、神話のあらすじだけに絞らなくてもいいんですね。物語の中で何をした神か、と、舞台でどう迎えられる存在か。その二つを分けると、この仮面の役割が見えます。
名前や、ほかの神々との関係から読み広げる本なら、天竺奇譚さんの『いちばんわかりやすいインド神話』があります。実業之日本社の公開紹介では、ガネーシャを含む神々の物語を、図表やイラストとともに解説する本として案内されています。
この仮面の専門図録ではなく、神々の背景を読む候補です。紙の本文は未実読で、仮面の解説が収録されているとは確認していません。今回確認した販売掲載には中古品もあるため、本の状態や版を見て選んでください。
次に作品ページを開いたら、素材の下で読むのを止めず、使った人や場面への説明も探してみてね。象の顔の、その向こうにいた俳優へと、関心を広げられる一作品です。