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インドで親しまれている象の頭の神さま、ガネーシャ。実は日本にも、ガネーシャとゆかりの深い神さまがいることをご存じですか。それが「聖天(しょうでん)さま」とも呼ばれる歓喜天です。
東京・浅草にある待乳山聖天(まつちやましょうでん)は、この聖天さまをお祀りするお寺です。境内のあちこちに大根と巾着の印があり、お正月には「大根まつり」も行われています。
この記事では、待乳山聖天の公式サイト、浅草名所七福神の公式サイト、台東区の公式観光情報サイト、そしてコトバンクに収録されている百科事典の説明をもとに、ガネーシャと聖天さまの関係、待乳山聖天の大根と巾着に込められた意味、大根まつりの日程など、知っておきたい3つのことを整理しました。
※行事の日程や開堂時間は変わることがあります。お参りの前に、待乳山聖天の公式サイトで確認してください。
ガネーシャと聖天さま(歓喜天)の関係は?
歓喜天はガネーシャに相当する神さま
コトバンクに収録されている日本大百科全書(ニッポニカ)では、歓喜天は仏教の守護神で、サンスクリット名ガナパティ(Gaṇapati)あるいはビナーヤカ(Vināyaka)の訳とされています。大聖歓喜自在天(だいしょうかんぎじざいてん)、聖天(しょうでん)ともいうそうです。
同じ説明では、歓喜天はもとはインド神話の神で、ヒンドゥー教のシバ神とその妃パールバティーの子で、象頭人身の神ガネーシャに相当し、智慧と財福の神とされると書かれています。ガナパティまたはガネーシャとは、シバ神の眷属(けんぞく)の長という意味だそうです。
つまり、インドのガネーシャが仏教に取り入れられ、日本では「歓喜天」「聖天さま」として信仰されてきた、と考えるとわかりやすいですね。
姿は象の頭と人の体
デジタル大辞泉では、歓喜天は「頭は象、身体は人間の姿をした仏法守護神」と説明されています。単身像と双身像があり、双身像は男神と女神とが抱擁する姿をとることが多いそうです。夫婦和合・子宝の神として信仰される、とも書かれています。
ガネーシャと同じく象の頭を持つ姿は、インドの神さまとのつながりを感じさせますね。
ガネーシャと聖天さまを比べると
| 項目 | ガネーシャ | 聖天さま(歓喜天) |
|---|---|---|
| 主に信仰されている場所 | インドなど | 日本の寺院など |
| 姿 | 象頭人身 | 象頭人身。単身像と双身像がある |
| 百科事典での説明 | シバ神とパールバティーの子 | 仏教の守護神。ガネーシャに相当 |
| 別の呼び名 | ガナパティ、ビナーヤカ | 大聖歓喜自在天、聖天 |
待乳山聖天とはどんなお寺?
浅草寺の支院のひとつ
台東区の公式観光情報サイトでは、待乳山聖天(本龍院)は浅草寺の北東、森林に囲まれた丘の上に位置する、浅草寺の支院のひとつと紹介されています。浅草名所七福神の公式サイトでは、ご本尊は大聖歓喜天(聖天様)とされています。
聖天さまが鎮座したいわれ
待乳山聖天の公式サイト「聖天様の信仰」のページでは、待乳山は推古天皇の御世に地中から忽然と湧き出た霊山で、そのとき金龍が天より降って山を廻り守護したと伝えられていると紹介されています。
それから6年後の夏、この地方が大旱魃に見舞われたとき、十一面観世音菩薩が大聖歓喜天の姿となってこの山に降臨し、苦しむ民を救った。これが聖天さまがこの地に鎮座された起源であるといわれている、と書かれています。
浅草名所七福神の毘沙門天も
浅草名所七福神の公式サイトでは、待乳山聖天には毘沙門天が祀られていると紹介されています。毘沙門天は、大聖歓喜天の守り神として古くから奉安されている木彫像だそうです。浅草名所七福神は、浅草周辺の社寺をめぐって七福神にお参りするもので、待乳山聖天はその中で毘沙門天を担当しています。ガネーシャゆかりの聖天さまと、七福神の毘沙門天に一度にお参りできるのも、待乳山聖天ならではですね。
知っておきたい3つのこと
ここからは、待乳山聖天にお参りする前に知っておきたい3つのことをご紹介します。
1. 聖天さまは十一面観音を本地仏とする守護神
待乳山聖天の公式サイトでは、十一面観音菩薩を本地仏とする聖天さま(大聖歓喜天)は、仏法を守護し、仏道を行ずる人々を守護する天部の神さまであると紹介されています。そして、私たちの迷いを救い、願いをかなえさせてくださる大きな力を持っている、と説明されています。
日本大百科全書の説明では、ビナーヤカ(毘奈夜迦)はもとはシバ神の眷属で、人間に障害をなす鬼類であったが、その長である歓喜に観音菩薩が女身をとって近づいて夫婦となり、以後は人間の障害を除く神に転じさせたといい、それが双身像の由来とされる、と紹介されています。本地仏が十一面観音とされていることとあわせて読むと、観音さまとのつながりが見えてきますね。
2. 大根と巾着はご利益をあらわす印
待乳山聖天の公式サイトでは、境内各所に印されている巾着や大根は、信心して祈願することによって得られるご利益を端的に表したものと説明されています。
| 印 | 公式サイトでの説明 |
|---|---|
| 大根 | 身体を丈夫にしていただき、良縁を成就し、夫婦仲良く末永く一家の和合を御加護いただける功徳を表す |
| 巾着 | 財宝で商売繁盛を表し、聖天さまの信仰のご利益の大きいことを示す |
浅草名所七福神の公式サイトでは、待乳山聖天の紋章には巾着と二股大根が組み合わされていて、巾着は砂金袋のことで商売繁盛を、二股大根は無病息災、夫婦和合、子孫繁栄をそれぞれ意味し、大聖歓喜天の福徳を示している、と紹介されています。
コトバンクに収録されている日本大百科全書でも、歓喜天には歓喜おだん(菓子)や蘿蔔(らふく、ダイコン。歓喜天の象徴物)を供える、と説明されています。大根は、待乳山聖天だけでなく、歓喜天の信仰そのものと結びついた供え物なのですね。
3. 1月7日は「大根まつり」
待乳山聖天の公式サイト「大根まつりの由来」のページでは、大根は清浄で淡白な味わいのある食物としてすべての人に好まれ、体内の毒素を中和して消化を助けるはたらきがあるところから、聖天さまの「おはたらき」をあらわすものとして尊ばれ、ご供養に欠かせないお供物とされている、と紹介されています。
同じページによると、待乳山聖天では昭和49年(1974年)から、毎年正月7日に大根まつりを行っています。元旦以来ご本尊にお供えされた大根をふろふきにして調理し、御神酒とともに参詣者にふるまうそうです。
| 項目 | 公式サイトでの案内 |
|---|---|
| 日にち | 1月7日 |
| 大般若家内安全法要 | 午前11時より |
| 大根をお配りする時間 | 法要終了後(午前11時30分頃)より午後1時まで |
| 数 | 1800食限定 |
お下がりの大根をいただくことで、聖天さまのお徳をいただき、身体と心の健康を得ることができる、と公式サイトでは説明されています。
聖天さまのご利益として説明されていること
コトバンクに収録されている辞書・事典では、歓喜天の功徳について次のように説明されています。
- 日本国語大辞典:治病、除難、財富、夫婦和合、子宝などの功徳があるとされる
- 日本大百科全書:今日でも財宝、夫婦和合の神とされる
- ブリタニカ国際大百科事典:富貴を得、夫婦相和し、子を得、病魔の難から逃れられるとして、特に商家の信仰が厚い
ご利益の受け止め方は人それぞれですが、待乳山聖天の大根と巾着の意味と重ねて読むと、昔から人々がどんな願いを聖天さまに託してきたのかが伝わってきます。
待乳山聖天へのお参り情報
場所とアクセス
台東区の公式観光情報サイトで紹介されている基本情報は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 東京都台東区浅草7-4-1 |
| 電話 | 03-3874-2030(受付時間8:30~16:30) |
| 開堂時間 | 6:00~16:30 |
| 鉄道 | 東京メトロ銀座線・都営浅草線・東武スカイツリーライン 浅草駅から徒歩約10分 |
浴油祈祷とは
待乳山聖天の公式サイトでは、浴油祈祷は聖天さまを供養する最高の祈祷法で、毎朝欠かさず修されていると紹介されています。祈祷を申し込むと、行者が七日間厳修するそうです。
コトバンクに収録されている日本大百科全書でも、歓喜天には浴油して智慧や財富や地位の獲得を祈る聖天供(しょうでんぐ)または聖天法が修される、と説明されています。
お正月の授与品
台東区の公式観光情報サイトでは、待乳山聖天に正月参拝をすると、大根が描かれた巾着の形をした金色の貯金玉(貯金箱)が授与されると紹介されています。授与の有無や内容は年によって変わることもあるので、気になる方は事前に確認してみてください。
ガネーシャと聖天さまでよくある質問
大根まつりには誰でも参加できる?
待乳山聖天の公式サイトでは、大根まつりについて「どなたさまもご遠慮なく、おいで下さい」と案内されています。ただし、ふるまいは1800食限定とされています。お正月の浅草は混み合うことも多いので、時間に余裕を持って出かけるとよいですね。日程や時間は年によって変わることもあるので、出かける前に公式サイトやブログで確認してください。
日本でほかにも聖天さまを祀るお寺はある?
コトバンクに収録されている日本大百科全書では、奈良の生駒聖天(宝山寺)が有名と紹介されています。ブリタニカ国際大百科事典の説明では、奈良の宝山寺はその信仰で著名で、神奈川の宝戒寺に像がある、とも書かれています。
聖天さまのお像は見られる?
聖天さまのお像の公開については、お寺ごとに扱いが異なります。お参りの際は、各お寺の案内に従ってください。
ガネーシャのように甘いものをお供えするの?
日本大百科全書の説明では、歓喜天には歓喜おだん(菓子)や蘿蔔(ダイコン)を供えるとされています。お供えの作法は、お参りするお寺の案内に従ってください。
ガネーシャと聖天さまは同じ神さまなの?
百科事典では、歓喜天はガネーシャに「相当する」と説明されています。インドで信仰されてきた神さまが仏教に取り入れられ、日本では仏教の守護神として信仰されてきたので、まったく同じ信仰の形というわけではありません。両方の違いと共通点を知っておくと、お参りや旅行がより楽しくなりそうです。
ガネーシャを知ると聖天さまのお参りがもっと楽しくなる
ガネーシャと聖天さま、待乳山聖天について、もう一度まとめておきます。
- 歓喜天(聖天さま)は仏教の守護神で、ヒンドゥー教のガネーシャに相当すると百科事典で説明されている
- 待乳山聖天(本龍院)は浅草寺の支院のひとつで、ご本尊は大聖歓喜天
- 境内の大根は身体健全や夫婦和合、巾着は財宝・商売繁盛のご利益を表す
- 毎年1月7日には、お供えされた大根をふるまう「大根まつり」が行われる
- 浅草駅から徒歩約10分。開堂時間は6:00~16:30
インドのガネーシャと、浅草の聖天さま。遠く離れた場所で、象の頭を持つ神さまがそれぞれ大切にされてきたことを思うと、なんだか不思議な縁を感じますね。浅草を訪れたときは、ぜひ大根と巾着の印を探しながらお参りしてみてください。